第11号 会社を作って悪用する方法!法人格否認の法理 Part2
A会社という倒産の危機に瀕した会社があり、A会社は、強制執行を免れるために、財産
を隠匿することを考えました。
そこで、新しく同じ名前の会社A会社というものを設立しました。名前が同じでややこし
いので、ここでは、新しい会社をA’とします。
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知ってて得する法律知識!実際の判例から解説! 第11号 2005・5・8
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■ アンケートの結果について ■
みなさん、こんにちわ。知ってて得する法律知識!実際の判例から解説! 第11号です。
前回はアンケートに協力いただき、誠にありがとうございました。たくさんの回答をいた
だき大変うれしく思っております。正直、1件も回答がないのではないかと心配しており
ました。
しかも、役に立っているという回答をいただいた方がたくさんいました。反対に、全く役
に立たないという回答はなんと0でした!!!
ほんとうに、ありがとうございます。中にはコメントまでくださった読者さんまでいて、
貴重な意見をいただいて、誠にありがとうございました。
これからは、もっともっと、役に立つ内容、おもしろい内容、法律っておもしろいなぁ、
と思ってもらえるような内容を掲載していきたいと思いますので、これからもどうかよろ
しくお願いいたします。
■ はじめに ■
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■ さあ、始めましょう ■
さて、それでは本題に入りましょう。前回の続きです。前回は、法人格否認の法理という
ものを紹介しました。その中でも、形骸化事例というものでしたよね。
今回は、予告どおり、濫用事例というものを紹介します。よくそんなことを考えたなぁ、
という事件です。
最高裁昭和48年10月26日の判例です。
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■ 事件の概要 ■
A会社という倒産の危機に瀕した会社があり、A会社は、強制執行を免れるために、財産
を隠匿することを考えました。
そこで、新しく同じ名前の会社A会社というものを設立しました。名前が同じでややこし
いので、ここでは、新しい会社をA’とします。
そして、A会社の財産をA’会社に移転して、そのまま同一の営業を継続していました。
そこで、A会社の債権者がA’会社に対して請求したという事案です。
■ 争点 ■
旧会社である、A会社の債権者は、A’会社に対しても請求することができるか。
■ 結論 ■
会社は信義則上、新旧両会社が別人格であることを主張できず、相手方は新旧両会社のい
ずれに対しても請求することができる。
■ 解説 ■
さて、何が問題となっているかお分かりでしょうか。前回のマガジンをしっかり読んだ方
なら、だいたい分かると思います。話としては、前回とほとんど同じですよね。
では、少し解説したいと思います。
まず、A会社は、簡単に言えば借金まみれになっていたということで、このままでは強制
執行をされてしまうという状態だったわけです。
ですから、A会社は何とかして、財産を守りたいと考えたわけです。そこで、A会社は何
を考えたかというと、新しい会社を作ってその会社に全部財産を移転してしまえ!という
ことを考えたわけです。
つまり、前回解説したように、会社というのは法律上は一人の人間として扱われるわけで
す。とすれば、A会社に対する債権者は、Aに対して「金を払え!」という権利を持って
いるわけであって、A’に対しては何も権利を持っていないということになります。
なぜなら、AとA’というのは別々の人間だからですよね。わかりやすく言えば、鈴木さ
んという人と、佐藤さんという人がいるとします。そして、山口さんが、鈴木さんに1万
円貸したとします。
その後、鈴木さんが一文無しになったとします。その時に、山口さんは佐藤さんに1万円
を返せと言えるわけがないですよね。
それと、同じことです。AとA’は法律上は別人です。だから、A’に対しては請求でき
ないということになりそうですよね。
でも、よく考えてください。さっきの鈴木さんと佐藤さんというのは全くの別人です。
しかし、AとA’というのは、商号(会社の名前)・代表取締役・従業員・営業の内容ま
で全部同じだったのです。
こんなものは、法律上はいくら別人だと言っても、実質的には同一人物ですよね。つまり
、A’会社は強制執行を免れるためだけに濫用的に設立された会社なのです。
そんな、会社の独立性は認めませんよ!というのが、法人格否認の法理の濫用事例という
ものです。
そして、判例はこの事件に関して法人格否認の法理を適用して、A’会社の独立性を否定
して、A会社と同一人物だとして、A会社の債権者の、A’会社に対する請求を認めたと
いうわけです。
■ 最後に ■
うまいこと考えましたよね。まさに、会社という法人格を濫用・悪用したという事件です。
でも、実際はこれに近いようなことがよく起きています。ですから、このようなことをさ
れそうだという債権者の方はあきらめずに、訴訟を起こしましょう。法人格否認の法理が
適用されれば、債権を回収することができるかもしれませんよ\(^_^)/
■ 編集後記 ■
このメルマガを発行してから、法律をできるだけわかりやすく解説するというのが、ほん
とうに難しいことだということを実感しています。
厳密に説明しようとすると、限りなく説明が続いてしまいます。今回の法人格否認の法理
に関しても、そう簡単に認められるわけではなく、実際には厳しい要件をクリアする必要
があるのです。
今回の濫用事例に関しては比較的緩やかな要件で認められ得るのですが、前回の形骸化事
例に関しては、4つの要件が必要だといわれています。以下、参考までに紹介します。
1、業務活動の混同が反復・継続していること
2、会社と社員の義務・財産の全般的・継続的混同があること
3、帳簿記載・会計の混同があること
4、株主総会・取締役会の不開催等、強行法的組織規定の無視があること
今回はここまでにしたいと思います。
もっともっとわかりやすく、かつおもしろく解説していけるように頑張りたいと思います
ので、次回もお楽しみに!!
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■ 注意 ■
このメルマガは実際の判例を素材にしていますので、もっと詳しく知りたいという方は最
高裁判所のホームページを見れば紹介されていますので、見てみてください。星の数ほど
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ここで紹介している判例は、発行当時のものです。法律は生き物ですから、難しい解釈が
されたり、判例変更がされている可能性もありますので、自分の責任で判断してください
。また、同じ事件など存在しないので、すべての場合にこのメルマガで紹介している判例
の結論になるわけでもありません。あくまで、参考にということでお願いします。
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