第17号 女の子を車に乗せて走ると監禁罪!
被告人甲は、強姦の目的で、女性である乙を偽計を用いて自動車に乗せて犯行現場まで走
行しました。
しかし、自動車を運転する以外は、乙を自動車から逃げられないようにするなどの行為は
何もしておらず、また乙も甲が強姦するという意図を持っているということについて気づ
いておらず、車から降ろして欲しい、というような事も言っていませんでした。
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知ってて得する法律知識!実際の判例から解説! 第17号 2005・5・21
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---------- 目次 --------------------------------------------------------
1、第1章 はじめに
2、第2章 おすすめメルマガ
3、第3章 本題
(事件の概要、争点、結論、解説、最後に、今日の得する法律知識)
4、第4章 おすすめサイト
5、第5章 編集後記
6、第6章 発行開始しました
7、第7章 注意
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■■ 第1章 はじめに ■■
先日、ある読者の方から励ましのメールをいただきました。ほんとうに心からうれしかっ
たです。
メルマガというは、どうしても一方通行な部分が多いわけで、発行していても、読者のみ
なさまの反応が分からず不安になったりすることがあります。文字だけですから、誤解が
あったりすることもあると思いますしね。
ですから、ご意見や励ましのメールをいただくとほんとうにうれしいのです。この場を借
りて、お礼を申し上げます。本当にありがとうございました。
■■ 第2章 おすすめメルマガ ■■
さて、今回も本題に入る前に、おすすめのメルマガを紹介したいと思います。もちろん無
料のメルマガです。
「工学博士が司法試験の勉強中」というメルマガです。工学博士で、働きながら、司法試
験の勉強をしているという人が発行している、とっても面白いメルマガです。
なぜ、司法試験の勉強をされているかは、技術と法律の境界分野というあまり人が手を付
けていない分野に手を出したいから、だそうです。向上心があり立派な発行者のメルマガ
ですので、きっとみなさんも何かを得ることができると思います。興味のある方は購読し
てください。
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■■ 第3章 本題 ■■
さて、それでは本題に入りましょう。
先日、少女を監禁していたとしてある男が逮捕されました。ほんとうにひどい事件です。
また、以前にも、10年以上少女を監禁していたという事件がありました。
これらの事件は、典型的な監禁罪ですが、実はあのように家などに閉じ込めなくても監禁
罪が成立する場合もあるのです。
そこで、監禁罪に関するちょっとした知識を知ってもらうために、監禁罪に関する判例を
もとに監禁罪についてちょっとだけ説明したいと思います。
広島高判昭和51年9月21日の判例です。
■■ 事件の概要 ■■
被告人甲は、強姦の目的で、女性である乙を偽計を用いて自動車に乗せて犯行現場まで走
行しました。
しかし、自動車を運転する以外は、乙を自動車から逃げられないようにするなどの行為は
何もしておらず、また乙も甲が強姦するという意図を持っているということについて気づ
いておらず、車から降ろして欲しい、というような事も言っていませんでした。
このような場合でも、監禁罪が成立するのかが、争われたのが本件です。
■■ 争点 ■■
自分が監禁されていることを認識していなくても、監禁罪は成立するか。
■■ 結論 ■■
判旨の一部抜粋
「およそ監禁罪にいわゆる監禁とは人を一定の区域外に出ることを不可能又はいちじるし
く困難ならしめることをいい、被監禁者が行動の自由を拘束されてれば足り、自己が監禁
されていることを意識する必要はないと解するのが相当である。」
すなわち、自分が監禁されていることを認識していなくても、監禁罪は成立します。
■■ 解説 ■■
さて、どうでしょうか。みなさんの感覚からして、この場合に監禁罪は成立するでしょう
か。
甲は、確かに内心では、乙を強姦するつもりです。しかし、乙自身は自分が監禁されてい
るということに気づいていません。
こんな場合でも監禁罪が成立するというのは、ちょっと変な感じがしますよね。
実際にも、この場合は監禁罪が成立しないと考える説もあります。そうなんです。法律の
世界は学説の対立というのがすごく激しいのです。
監禁罪が成立するためには、被害者が監禁されていることを認識している必要があるか、
どうかは大きく分けて二つの説の対立があります。それを、少しだけ説明します。全然難
しくないので、安心してくださいね。
まず、判例の立場です。判例は、被害者が監禁されていることを認識している必要はない
という立場ですよね。これを名前はどうでもいいのですが、可能的自由説といいます。
反対に、被害者が監禁されていることを認識している必要があるという立場があります。
この立場ですと、本件では、監禁罪は成立しません。これを、現実的自由説といいます。
もう少し詳しく説明します。監禁というのは、閉じ込められて、移動できないようにする
犯罪ですよね。つまり、移動したくても移動することができないという状態のことです。
しかし、判例の立場である可能的自由説というのは、周囲の人から見て移動できない状態
になっていれば、被害者が現実に移動しようとしていなくても、監禁されていることを認
識していなくても監禁罪が成立すると考えるのです。
反対に、現実的自由説という考え方からすれば、周囲の人から見て移動できない状態にさ
れていて、さらに、被害者が現実に移動しようとしたけど、移動することができなかった
という事情があって初めて監禁罪が成立すると考えるのです。
少し分かりにくいですよね。でも、具体例をイメージすればすぐに両説の違いが理解でき
ると思います。
例えば、Aさんが酒を飲みすぎて寝ていました。そこに、Bさんが現れて、Aさんのいる部
屋の鍵をかけてしばらく閉じ込めました。そして、3時間後に鍵を外しました。その間も
ずっと、Aさんは寝ていて鍵をかけられていることには全く気づいていませんでした。そ
の後、Aさんは起きて何事もなく部屋から出ていきました。
この場合は、どうでしょうか。そうですね、勘のいい方であれば「そういうことか!」と
気づかれたと思います。
そうなのです。この場合、判例の立場である可能的自由説だと、監禁罪が成立するのです
。
なぜなら、Aさんは自分が閉じ込められていることに全く気づいていませし、現実に移動
しようともしていませんが、周囲の人から見れば移動できない状態にされているからです
。少し難しい言葉で言うと、客観的には移動の自由が侵害されていたのです。
反対に、Aさんは自分が監禁されていることには全く気づいていませんし、ずっと寝てい
たのですから、現実に移動しようとしたけど、移動できなかったという事になったわけ
でもありません。ですから、現実的自由説からは監禁罪は成立しないのです。
このような面白い対立があるのですが、判例は可能的自由説を採用していると思われるの
で、周囲の人から見て、「あの人は、移動しようと思っても移動できない状態にされてい
るよね」という状態にすれば、本人が現実に移動しようとしてできなかったとか、監禁さ
れていることを認識していたという事情がなくても監禁罪が成立するのです。
本件の判例でも、被害者は、ただ車に乗っているだけで、まさか自分が監禁されていると
は思っていません。また、現実に逃げようともしていませんから、逃げようとして、それ
を甲に阻止されたという事情もありません。でも、実際には甲は強姦する意図があったし
、逃げられないように監禁するつもりだったので、もし、現実に逃げようとしていたとす
れば、逃げられない状態だったわけです。
ですから、判例は監禁罪が成立するとしたのです。
■■ 最後に ■■
今回は、おもしろい判例を見つけることができなかった!ということもあって、ニュース
で監禁の話を見たので取り上げてみました。しかも、学説の対立という少し難しい部分ま
で解説してしまい、このメルマガのコンセプトからズレてしまうかな、とも思いました。
でも、今回の解説を読んで、どうだったでしょうか。学説の対立といっても、全く意味
がわからん!ということはなかったのではないでしょうか。そうなのです、法律というの
は実はそんなに難しいものではないのです。
確かに、深く突き詰めて考えれば難しい学問です。しかし、普通に生活していくために知
っておけば得する、というくらいの法律の知識であれば、それほど難しいものではないの
です。
少しでも、みなさんに法律を身近に感じてもらうために、今回は、ちょっとだけ深い話を
しました。
それから、余談ですが、監禁罪というのは刑法220条なのですが、法定刑といって、裁
判官が判決を出すことのできる上限みたいなものがあるのですが、その法定刑が3ヶ月以
上5年以下の懲役なのです。
つまり、5年以上の懲役を判決として出すことはできないのです。ちょっと軽すぎますよ
ね。前に起きた事件なんて、十年以上監禁していたわけです。それなのに、最高でも5年
です。
ただ、その時の事件では、はっきり覚えていませんが、たしか、ちょっと怪我もさせてい
たということで、傷害罪もトッピングのような感じで足していたような気がします。
傷害罪もしていたということになれば併合罪と言って、最高で、1、5倍まで法定刑を引
き上げることができるのです。それで、少し刑を重くしていたようです。
※参照条文 刑法220条
不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。
■■ 今回の知ってて得する法律知識 ■■
被害者が監禁されていると知らなくても、監禁罪は成立する。
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■■ 第4章 おすすめサイト ■■
ネット内職という言葉をご存知でしょうか。登録してメールを受信して、その中に入って
いる企業の広告をクリックして見るとポイントが貯まっていき、そのポイントを現金に交
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私も、やっているのですが、そのネット内職の世界では超有名なサイトを一つ紹介します。
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■■ 第5章 編集後記 ■■
いろいろと面白いというか、お伝えしたい判例はたくさんあるのですが、紹介しようと思
うととんでもない量になってしまうので、あきらめているというものがたくさんあります。
適度な量で解説することができて、面白い判例を探すのにけっこう苦労しています。時々
ややこしくて理解できない、とか、全然おもしろくないというものを紹介してしまうかも
しれませんが、お許しください。
できるだけ、みなさまのためになるようなものを分かりやすく解説するように努力いたし
ます。
■■ 第6章 発行開始しました!! ■■
以前から、告知していた「毎日3分!条文+豆知識で民法完全制覇!」というメルマガの
発行を今週の月曜日からついに開始しました。
最初は意味なんて分からなくてもいいのです。「法律の条文ってこんなものか。」と思っ
ていただけるだけでも、それはとても有意義なことです。誰だって最初は何もわからない
ものです。人間というのはただ、読んでいるだけでも自然に理解してくるものですからね
。今、日本語を話しているほとんどの人が、特別何か日本語の勉強をしたということはな
いと思います。それと、同じです。ぜひ、購読してみてください。
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■■ 第7章 注意 ■■
このメルマガは実際の判例を素材にしていますので、もっと詳しく知りたいという方は最
高裁判所のホームページを見れば紹介されていますので、見てみてください。星の数ほど
判例はあるので検索するのに苦労するかもしれませんが・・・。
ここで紹介している判例は、発行当時のものです。法律は生き物ですから、難しい解釈が
されたり、判例変更がされている可能性もありますので、自分の責任で判断してください
。また、同じ事件など存在しないので、すべての場合にこのメルマガで紹介している判例
の結論になるわけでもありません。あくまで、参考にということでお願いします。
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