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第5号 権利の濫用は許さない 宇奈月温泉事件

大判昭和10年10月5日の判例です。宇奈月温泉事件といいます。

宇奈月温泉を経営するY会社がありました。そして、そのY会社は他人の土地を2坪ほどか
すめて引湯管を設けていました。それに、目をつけたXがいました。そこで、Xはその土地
を買い受けてY会社に不当に高額な価格での買い取りを要求したのですが、拒否されました。
そこで、XがY会社に対して所有権に基づいて引湯管の撤去を請求する裁判を起こしました。

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知ってて得する法律知識!実際の判例から解説! 第5号 2005・4・16
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みなさん、こんにちわ。第5号になります。今回は、みなさんがよく勘違いしている法律
の知識について解説します。とても大事なことですので、覚えておいてください。それは
、法律に書いてあれば何でも許されるわけではないということです。つまり、形式上は法
律上許されるようなことでも著しく正義に反するような場合には許されない場合があると
いうことです。

では、前置きはこれくらいにして本題に入りたいと思います。今回はほんとに大事なので
頑張って最後まで読んでください。

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■事件の概要

大判昭和10年10月5日の判例です。宇奈月温泉事件といいます。

宇奈月温泉を経営するY会社がありました。そして、そのY会社は他人の土地を2坪ほどか
すめて引湯管を設けていました。それに、目をつけたXがいました。そこで、Xはその土地
を買い受けてY会社に不当に高額な価格での買い取りを要求したのですが、拒否されました

そこで、XがY会社に対して所有権に基づいて引湯管の撤去を請求する裁判を起こしました。

■争点

Xの所有権に基づく引湯管の撤去請求は認められるか。

■結論

Xの請求棄却。Xの所有権に基づく引湯管の撤去請求は認められない。

■解説


さて、みなさんはどう思うでしょうか?Xは所有権を持っているし、Yは他人の土地を勝手
に使っていたんだからXが勝つと思った人もたくさんいると思います。
でも、ちょっと待ってください。Yが他人の土地を使っていたのはたった2坪だけです。
そして、Xの行動はただ単にY会社にふっかけて金を稼ごうといういわば単なる「やからで
よね。そんなことを認めれば正義に反します。法は正義です!!!

確かに、Xは所有権を持っています。所有権というのは法律上は物権といって強力な力を
もっています。ですから、人が邪魔をすれば排除できる権利もあります(民法206条)

しかし、だからといってそんなものを認めるわけにはいかない。でも、民法206条があ
るから、Xの請求を認めなくてはならない。ここが悩みどころです。

ここで、Y会社はあきらめませんでした。やからであるXの請求を拒否して裁判で戦ったの
です。そして、見事に勝利しましたd(-_^)good!!

では、なぜ勝てたのでしょうか。その答えは民法1条3項です。民法1条3項には「権利
の濫用はこれを許さない」と書いてあります。これは、法の正義に反するような権利の行
使は許さないという条文です。つまり、今回の事件でいえば、確かにXは所有権を持って
いるし引湯管を撤去しろ!という権利は持っている。

しかし、その権利の行使は正義に反するし、権利の濫用だから許されないということにな
るのです。

この民法1条3項は、1条2項の信義則と合わせて最後のいわば伝家の宝刀として存在し
ているのです。裁判所はこの伝家の宝刀を抜いてやからであるXを切り捨てたというわけ
です\(^_^)/

さすが、法の番人ですね。以下実際の判決文を掲載しますので、判決文ってどんなものな
のかということが知りたい方は読んでみてください。

判旨抜粋

「所有権の侵害による損失はいうに足らず、侵害の除去が著しく困難であり、それができ
るとしても莫大な費用を要すべき場合において、当該除去請求は単に所有権の行使たる外
形を有するにとどまり、真に権利救済を目的とするものではないのであって、社会観念上
所有権の目的に違背してその機能として許されるべき範囲を逸脱するものであり権利の濫
用にほかならない」

■最後に

最初に今回はとっても大事だといいましたよね。何がいいたかったかというと、法律は正
義なのです。だから、何があってもあきらめずに戦って欲しいということです。
もちろん戦って負けることもあります。でも、戦ったという事実が残って、それが引き継
がれて、その後に判例変更がされて勝ったということがいくらでもあるのです。

法律は、市民が独裁者や王様と死に物狂いで戦って手に入れてきたものなのです。その戦
いがあるからこそ、今の時代があるのです。

だから、法律の話に限らず、おかしいと思ったことに対してはあきらめるのではなく、徹
底的に戦いましょう!!!!!

今回は少し長くなりましたが、「法律は正義であり、誰に対しても平等なのだ。」という
ことを伝えたかったのです。

■注意

このメルマガは実際の判例を素材にしていますので、もっと詳しく知りたいという方は、
最高裁判所のホームページを見れば紹介されていますので、見てみてください。
星の数ほど、判例はあるので検索するのに苦労するかもしれませんが・・・。

ここで紹介している判例は、発行当時のものです。法律は生き物ですから、難しい解釈が
されたり、判例変更がされるている可能性もありますので、自分の責任で判断してくださ
い。また、同じ事件など存在しないので、すべての場合にこのメルマガで紹介している判
例の結論になるわけでもありません。あくまで、参考にということでお願いします。


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