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第31号 自白法則について 東京地裁昭和62年12月16日の判決

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知ってて得する法律知識!実際の判例から解説! 第31号 2005・12・29
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---------- 目次 ------------------------------------------------------

1、第1章  はじめに
2、第2章  本題
      (事件の概要、争点、結論、解説、最後に、今日の得する法律知識)
3、第3章  編集後記
4、第4章  注意

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■■  第1章 はじめに  ■■


みなさん、こんばんわ。またまた、久しぶりの発行かつ夜中の配信です。


年内に何とか発行しようと思って夜中ですが、頑張って原稿を書いております。


それから、今回がはじめてのみなさん、これからもよろしくお願いいたします。


このメルマガのバックナンバーは、こちらで公開しておりますので、こちらも参考にして
くださいね。↓


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それから、私が発行しているもう一つのメルマガである「毎日3分!条文+豆知識で民法
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それから、私のいつもお世話になっている先輩が本を出版されましたので、紹介させてい
ただきたいと思います。


今回が第2作目なのですが、この日本に道徳を取り戻すべく書かれた本で、読みやすくて
分かりやすくて、面白い内容になっています。


金が全てと言う風潮のある現代においてこそ、ぜひみなさんに読んでもらいたい本です。


今日も、ある国会議員の方と学校の先生などといろいろな話をさせていただきました。


その中で、最近は、個人のオリジナリティを伸ばすことが重要だと言われているけど、そ
れはあくまで、いろいろな事を真似た上での話しだということが出てきました。


まさしくその通りだと思います。


どんなに有名な画家でも始めは誰かの絵を真似して書くように、オリジナリティのある人
間になるためにも、いろいろな人の生き様を知ることがまず重要だと思います。


この私の先輩が出された本は、33人の生き様を簡単に紹介していくという内容になって
います。


教育に興味のある人、子供のいる親などにぜひ読んでもらいたいと思って紹介させていた
だきました。

J 日本の義

J-日本の義―新修身教科書




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〜〜〜 第2章 本題 〜〜〜


さて、前置きが長くなってしまいましたが、本題に入りましょう。


今日は、刑事訴訟法自白についての判例の解説です。


日本の刑事訴訟法においては、自白をしたとしても必ずしも有罪になるわけではありませ
ん。


つまり、警察官の取調べを受けて、「自分がやりました。」と言ったとしても、無罪にな
ることがあるのです。


それはなぜでしょうか?


さて、それでは始めましょう。東京地裁昭和62年12月16日の判決です。

非常に複雑な事件ですが、できるだけ分かりやすくするために、少し内容を変えています
がご了承ください。



■■ 事件の概要 ■■


東京都板橋区にある女子大学生寮の1室に男が侵入し、被害者(当時18歳)所有の現金
が盗まれました。


その時に、被害者が目を覚まして発見されてしまったので、暴行を加えて強姦を企てまし
たが、同女が騒いだので、目的を遂げずに逃走したという事件が発生しました。


現場からは、犯人が履いていたシューズが発見され、敷地内からは犯人の足跡と思われる
ものが発見されました。


しかし、被害者は極度の近眼であったため犯人の人相等についてはまったく知ることがで
ず、目撃者もいませんでした。


そのような事情から、この事件は迷宮入りしたかのように見えました。


しかし、事件から約1ヶ月半が経過後、別件の窃盗事件で逮捕された被告人が以前に事件
のあった女子寮に住んでいたことが判明し、警察官は前の事件もこの被告人が起こしたの
ではないかという疑いを持ちました。


そこで、前の事件で現場に残っていたシューズと、この被告人の衣服を警察犬による臭気
選別検査にかけたところ、被告人の同一性を窺わせる結果を得ることができました。


そこで、警察官は、取調べの際に、臭気選別結果しかないのに、「今の発達した科学では
、人間の分泌物から、その細かく枝分かれした血液型を知ることができ、指紋と同様に、
同じ分泌物の人間は、1億人に一人しかいないが、このシューズに付着していた分泌物が
お前のものと一致した。」とのウソをついたので、被告人はもはや何を言ってもムダであ
ると思い、概括的にこれを認めてしまいました。


この証拠などを基に起訴されて裁判になり、検察官は前記自白調書の証拠調べ請求をしま
した。


■■ 争点 ■■


このようなウソによって得られた自白調書証拠能力は認められるか?


■■ 結論 ■■


このような偽計によって得られた自白は、とうていその任意性を認めることはできないの
であって、証拠能力は認められない


ちなみに、この事件は、この自白調書の証拠能力が否定された結果、他に特に有罪を決定
づける証拠がなかったため無罪となっています。




■■ 解説 ■■


なぜ、この事件では自白をしているにも関わらず、証拠能力が認められずに無罪になった
のでしょうか。


まず、これを説明します。


わが国の刑事訴訟法は、自白があったとしても、その自白に任意性が認められない場合
その自白を証拠とすることができないと規定しています。


これを自白法則といい、刑事訴訟法319条1項に規定されています。


参照条文 第319条1項
強制、拷問又は脅迫による自白、不当に長く抑留又は拘禁された後の自白その他任意にさ
れたものでない疑のある自白は、これを証拠とすることができない。


なぜ、このような条文があるのでしょうか。この理由に関してはいろいろな説が対立して
いるのですが、難しいので、一つの立場である違法排除説という立場から説明します。


自白は、本人が犯罪を認めているわけですから、決定的な証拠であることは間違いありま
せん。


ですが、その決定的な証拠となるという性質であるがゆえに、拷問をしてでも自白を取ろ
うとしてしまいます。つまり、どんなことをしてでも自白を取ればいいというのでは、国
民の権利が侵害されてしまう危険があるのです。


そこで、国民の権利を守るために自白採取過程に違法がある場合には、その違法手続きに
よって得られた自白は排除したのです。


とすると、本件ではどうでしょうか?


何の証拠もないのに、警察官はウソを言って、被告人に何を言ってもムダであると思わせ
て自白を得ています。


こんな偽計を使って取り調べをすることは許されず、このような取調べには極めて重大な
違法があることになります。


ですから、その違法な手続きによって採取された自白は証拠能力を認めることはできず、
319条1項によって排除されるのです。


したがって、本件でも裁判所はこの自白に証拠能力を認めずに無罪としたのです。


■■ 最後に ■■


警察官は何でもかんでも自由に取り調べることができると思っている人が意外に多いので
すが、当然そんなことはありません。


こういう違法な取調べをすることは警察官であろうが許されないのです。


他に似たような問題として「切り違え尋問」というのがあります。


共犯で逮捕されて取り調べを受けた場合に、Aさんに対して、Bさんは何も言っていない
のに、「Bが、Aと一緒にやったと言っているぞ。」などと言うことです。


このような場合にも319条1項の自白法則が適用されて、それに騙されてした自白の証
拠能力は否定されます。


ただ、そうは言ってもどこまでの取調べが許されるのかというのは、難しいところで、そ
の微妙な判断を現場の警察官に要求するのは難しいようです。


ですから、法の専門家である検察官のチェックが必要とされているのですね。


警察官の取調べには必ずしも付き合う必要はないということは理解しておいて下さいね。


よく自転車に乗っていると、警察官が自転車を調べさせてくれと言ってきますよね。


あれは、あくまで任意のもので、絶対に応じる必要はないんですね。もし無視したとして
も警察官が無理やり力ずくで、止めて自転車を調べるということはできません。


なぜなら、そこまでするとそれは強制処分になりますので、令状が必要になってきます。

でも、令状なんて持っているわけがないですよね。そもそも、通常の警察官には令状の請
求権すら認められていません。



■■ 今回の知ってて得する法律知識 ■■


偽計によって得られた自白は、刑事訴訟法319条1項の自白法則によって証拠能力が否
定される。


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■■ 第3章 編集後記 ■■


みなさん、ドラゴン桜という漫画を知っているでしょうか?ドラマにもなっているので、
聞いたことはあると思いますが、あれはとてもよくできている漫画だと思います。


最初に言った、ますは人の真似をしないとオリジナリティなんてできるわけがないという
ことも少し触れられていますし、とてもよく考えられている漫画だと思います。


私はあまりドラゴン桜はあまり読まないのですが、私の中では池上遼一のオデッセイ以来
の大ヒットです。

ぜひ読んで見てください。


ドラゴン桜 

ドラゴン桜 11 (11)



■■ 第4章 注意 ■■


このメルマガは実際の判例を素材にしていますので、もっと詳しく知りたいという方は最
高裁判所のホームページを見れば紹介されていますので、見てみてください。星の数ほど
判例はあるので検索するのに苦労するかもしれませんが・・・。

ここで紹介している判例は、発行当時のものです。法律は生き物ですから、難しい解釈が
されたり、判例変更がされている可能性もありますので、自分の責任で判断してください
。また、同じ事件など存在しないので、すべての場合にこのメルマガで紹介している判例
の結論になるわけでもありません。あくまで、参考にということでお願いします。


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